カスタマー平均評価: 4.5
カッコイイ! プロコフィエフは当初ボリショイ劇場でこのバレエを初演するはずで作曲していたのだそうです。その時の、振り付け師がLavrovskyで、このDVDの振り付けのオリジナルになっています。
バレエは踊りと音楽のいずれを重視するかで好みが分かれるかもしれません。このボリショイの舞台はsymbolicな演出で、舞台があるだけ。マクミラン版のようなお話風の舞台とは全く異なります。ロシアのオーケストラは音が大きく、金管楽器が重厚なのですが、ボリショイのもしかりで、とても彫りの深いダイナミックな演奏で聴き応えがあります。指揮者のZhuraitisは聞いたことのない人ですが、劇場慣れした、聞かせるのが上手な指揮者です。曲の研究も相当していると思われ、実に上手い演奏でした。プロコフィエフによる同じロミオとジュリエットの組曲版がありますが(バレエなしの)、その演奏をアバドの一流の演奏で聴いた後でもZhuraitisの演奏はひけを取らないくらいすばらしいです。
バレエですが、symbolicであるほかに、とても踊りが格好良い、切れの良いのが特徴です。ジュリエットは当時40台後半のBessmertnovaですが、本当に可愛く、また嫌らしさがない。丁寧で、芸術的に昇華された踊りです。少々老けて見えるのはむしろこの場合好ましいくらいです。このバレリーナの踊りは他を寄せ付けない完成度があります。テイボルトには圧倒されましたが、その他、舞踏会でのキャピュレット家の人々の堂々たる攻撃的な踊り、喧嘩の仲裁に入るヴェローナ公の登場とそれに続く踊りと音楽などどれを取ってもすこぶる劇的で格好良いです。コベントガーデンのマクミラン版が色あせて見えるほど劇的でシンボリックな表現に、非常にソフィステイケートされた芸術を見ました。それにしても、プロコフィエフの音楽はすばらしい。スカッと抜けるドスの利いた音楽とこれだけ特徴のある舞台には、少々中毒になってしまいます。残念なのは値段がなぜか1万円以上もしてしまい、手が出しにくくなってしまいました。私は、どのDVDよりもこの舞台がすばらしいと思います。
アレクサンドル・ヴェトロフ!! ムハメドフはスパルタクスの主役よりロメオの方が似合っていますね若い恋する情熱的な青年という役がぴったりですしかしなんと言ってもジュリエットの従兄弟 ティボルト役のヴェトロフ登場シーンからずっと釘付けにさせてくれました粗暴で傲慢なティボルトの性格を良く現す鋭くキレる踊りこの人の右に出るティボルトはいないんじゃないかってくらい・・・ A・ヴェトロフのティボルト最高!! ロミオ役のイレク・ムハメドフ観たさに購入したのですが、すっかりティボルト役のアレクサンドル・ヴェトロフにハマってしまいました! とにかくティボルトの眼光鋭い演技がイイです! さてロミオ役のムハメドフですが、彼の迫力あるジャンプはさすがですが、ティボルトの派手さに負けて精彩を欠いているのが惜しいです。ベスメルトノワのジュリエットは演技は確かによいのでしょうが、アップになるとやはり多少興醒めするのは否めません。 衣装はヴィルサラーゼですから重厚でありながらキンキラ豪華です。 ジュリエット役がベスメルトノワなので減☆1です。 マイムを極力廃したグリゴローヴィチの振付はとても見やすいです。 とりあえずアレクサンドル・ヴェトロフのティボルトを存分に堪能して下さい☆ 購入の価値アリ!! 観賞用としては・・・ ボリショイ劇場で見るならば、間違いなく☆5の演出と踊りです。しかし、 ・カメラワークが非常に悪い ・映像があまりよくない の2点から、☆3か4だと思います。 カメラワークについて、 基本的にこの映像では、ソリストだけをカメラが追いかけていくという場面が多かったです。個人的には「ロメオとジュリエット」においては全体を写した方が見やすいと思うのですが・・・。 映像について、 基本的にボリショイのシリーズは映像はあまり綺麗ではなく、テレビ並です。オペラ座のDVDはかなり綺麗に仕上がっていますが、ボリショイのものはビデオとあまり変わらないと思います。またこのDVDの後半は画面がぶれてしまっており、あまり良く見えませんでした。再生する機材によりますが このDVDの演出は、オペラ座のように金をかけまくったような凝ったセットではなく、質素ながら照明効果をきかせたものになっています。ただこれは貧乏くさいという意味ではなく、モダンな演出という意味です。でも劇場で見ないとその価値がわからないだろう、というのが本音です。 ソリストの踊りやカーニバルの場におけるコールドの踊りは素晴らしかったです。 黒と白と青 N・ベスメルトノワのジュリエットの可愛いこと可愛いこと。アップにされるとかなり老けている(失礼)のに、踊っている姿はまさしく14、5歳の乙女です。 でも何より必見なのはA・ヴェトロフのティボルト。彼の毒々しいまでのエネルギーが身体全体からあふれ出ています。 それと対照的なI・ムハメドフのロメオ。ヴェトロフが若さ故の暴走を体現しているなら、彼は若さ故の未熟さを上手く表現しています。 それからマーキューショーのM・シャルコフ。上手くロメオの兄貴分の役をこなし、彼が殺された時ロメオが怒りに我を忘れたのも仕方がないと思わせる風でした。何より彼のひょうきんな踊りは全体的に暗くなりがちのこの物語に、ほっと一息つかせるものでした。 脇役の一人一人まで最高の踊りを配したこのバレエ、全てを書き連ねていると再現がないですが、最後に一組だけ。 ジュリエットの両親キュピレット夫妻。普通ああいうずるずる引きずった衣装を着た踊り手は踊らずにパントマイムだけなのですが、今回は舞台一杯に踊っていました。そして体一杯に怒り、悲しみなどの感情を表現していました。最高に良かったです。 脇役の一人一人にまで実力ある踊り手を配すことができる、ボリショイバレエの底力を見た気がします。 舞台は背景が全くなく光だけで演出。 踊りの中にもモダンな雰囲気を取り入れ、クラッシックとモダンの微妙な融合が良かったです。
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